入社した会社で、異動した部署で、英会話が必要。だけど全然話せない……
そんな危機感を抱いている方に向けて、今回は、「最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキル」をご紹介しようと思います。
これは、全く英語が話せなかった新入社員時代、仕事でも生活でも中国語が必須の環境に放り込まれた中国駐在当初、という僕自身の苦い経験を元に、ビジネス英会話習得のためのスキルを体系化したものです。
これを読んでいただければ、ビジネス英会話習得にどんなスキルが必要で、今の自分に何が足りていないか、ということがわかると思います。
ビジネス英会話が全然できないけど、何から始めればいいのかわからない……
という方は、是非、参考にしてみてください。
最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキル-結論
まず、結論です。
最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキルは、以下の通りです。
- リスニング力
- スピーキング力
- 単語・表現力
- ビジネス知識
これらを伸ばしていければ、ビジネス英会話力はどんどん成長していきます。
英会話というものは、いわば、英語を聞いて、英語を話すことです。
なので、①リスニング力と②スピーキング力が全てといえば全てです。ですが、③単語・表現力と④ビジネス知識は特に重要だと思うので、同列に並べています。
では、それぞれ詳細を見ていきましょう。
最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキル-①リスニング力
ビジネス英会話を習得するために伸ばすべきスキルの1つ目は、リスニング力です。
「あたりまえだろ!」なんてツッコミが聞こえてきそうですが(笑)、ここでみなさんに質問があります。
リスニング力って何ですか?
そんなの、言われた英語が聞き取れることでしょ。
その通りです。まさしくその通り。
では、リスニング力を伸ばすために何をしますか?
英語のニュースを見る? TOEICや英検などのリスニング問題を解きまくる? とにかく外人と会話しまくる?
どれも正解ではあります。
ですが、ただ闇雲にやっていては効率的なスキルアップにはなりません。何も考えずにただただ動き回るのは馬鹿のすることです。最速でビジネス英会話を習得するためには、そんな非効率的なことをしている暇はありません。自分のできないことをピンポイントで突いて、迅速な改善を図るべきです。
では、そのために、曖昧な「リスニング力」というものを分解して考えてみましょう。
リスニング力 =
スピードへの慣れ × 発音への慣れ × 単語・表現力 × ビジネス知識 × 文法知識
リスニング力は、この5要素で構成されます。
この中で、自分に足りないと思うところを伸ばしていくことが必要です。
では、それぞれ中身を見ていきましょう。
スピードへの慣れ
これまで英会話と関わりがなかった人にとって、外人の話す英語のスピードは最大のハードルの一つと言えるのではないでしょうか?
- 早すぎて何言っているのか聞き取れない。
- もっとゆっくり言ってくれ。
- 所々、グシャグシャっと早口でまくし立てたところがあって、よくわからない。
そんな感想を持ったことは一度や二度ではないはずです。
スピードに慣れるには、大量の英語を聞く必要があります。ですが、ただ聞き流しているだけではダメです。もちろん、聞き流すことも一つの立派な勉強法かもしれませんが、それだけでリスニング力が上がるほど、世の中甘くはありません。
効率良く効果を上げるためには、英語を聞いた後、何と言っていたのか、しっかり答え合わせをすることが重要です。
「ああ、この単語だったのか!」とか「この表現が早口でこう聞こえたのか!」と、「わかる英語」を増やしていくことが重要になります。
そうやって、徐々にスピードに慣れていってください。
発音への慣れ
あなたが今メインでやり取りしている/これからすることになる国はどこですか?
アメリカ? イギリス? 東南アジア? 中東?
それによって、同じ英語でも発音が全然違ってきます。
リスニング力を伸ばすには英語を聞くことが必要不可欠ですが、可能であれば、やり取りする地域の英語を聞くようにしましょう。
例えば、中東諸国の英語の発音はかなり特殊です。全ての単語に「r」が入っているのかと思うくらい、何でもかんでも舌を巻くように発音します(僕も、過去、中東客先とやり取りがあったのですが、聞き取るのにかなり苦労しました)。
中東の相手とやり取りするのに、綺麗なアメリカ英語だけで練習していては遠回りです。
津軽弁を聞き取れるようになりたいのに、日本語の標準語のリスニングを頑張るようなものです。「いや、津軽弁聞いて勉強しろよ!」ってなりますよね。
ですので、英会話に通うのであればその国の先生がいるところ、Youtubeで勉強するのであればその国の人が話す動画を探してみてください。
単語・表現力
これ、めちゃくちゃ大事です。
これこそが、最速でビジネス英会話を習得するための最重要スキルだと思います。
そもそもの単語や表現を知らないと相手の言っていることが聞き取れない、というのは当然のことですよね。
ですが、これは後半にまとめて記載しているので、いったんスキップします。
ビジネス知識
単語・表現力同様、これも非常に重要です。
ビジネス知識があれば、相手の言っていることが推測できます。この「推測できる」ということがどれほど助けになるか。
詳しくは後半に書きましたので、ここではいったんスキップします
文法知識
文法知識はあるに越したことはありません。
しかし、僕の経験上、文法知識はそれほど重要ではありません。
イメージですが、最低限、中学英語レベル(TOEIC目安300点程度)の文法がわかっていれば問題ないと思います。
Be動詞と一般動詞の違いがわかる。SVなんちゃらの5文型を知っている。
その程度で大丈夫です。
なぜなら、リーディング、ライティングならまだしも、会話のなかで複雑な文法表現が登場することはめったにないからです。
日本語でも文語と口語があり、書き言葉で使われる難しい文語表現は山ほどありますが、それを実際の会話で使うことはほとんどありませんよね? 学校で習う難しい英文法の多くはリーディング、ライティング用のもので、リスニングではあまり使いません。
それに、先に挙げた単語・表現とその文が肯定文か否定文かさえわかれば、前後の文脈から相手が何と言っているかおおよそ当たりが付くんです。
例えば、相手がこんなことを言ったとします。
I (??) in France. But now in Australia
相手は(??)のところで“live”的なことを言いましたが、それが”live”なのか“am living”なのか”lived”なのか”have lived”なのか”had lived”なのかわかりません。でも、おそらく”not”とは言ってないです。
であれば、動詞が過去系か過去分詞系か何なのか……なんてことは正直どうでもよくて、とにかく、「昔はフランスに住んでいたが、今はオーストラリアにいる」ということがわかるはずです。
正確なニュアンスはわからなくても、相手の意図の9割はこれで掴めたことになります。
最速でビジネス英会話を身に着けたいのであれば、細かな文法知識などはいったん捨てましょう。小さいことに囚われていつまでも英語が聞き取れないよりは、ざっくりでも聞き取れるようになったほうが100倍いいです。細かなニュアンスがどうしても気になるなら、あとで勉強すればいいんです。
最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキル-②スピーキング力
続いて、スピーキング力です。
こちらも、闇雲に勉強することを避けるため、一度要素に分解してみましょう。
スピーキング力 = 英語を話すことへの慣れ × 単語・表現力 × 文法知識
それぞれ見ていきます。
英語を話すことへの慣れ
言わずもがなですが、とにかくまずは英語を話すことに慣れる必要があります。
いくら知識があろうと、これまで英語を話した経験がなければいきなり英語を話すことは難しいですからね。緊張しますし、頭が真っ白になって全然言葉が出てこないと思います。逆に場慣れしていれば、多少ミスはあってもポンポン言葉が出てくるようになります。心理的不安感がなくなるからでしょう。とにかく、慣れが大事です。
なお、発音はよほど壊滅的でない限りちょっとくらい変でも伝わるので、あまり心配しなくても大丈夫です。もし不安だったり、相手によく指摘されたりするのであれば、英会話学校やYoutube学習を通じて解決していってください。
単語・表現力
リスニングに続いてこちらにも出てきましたが、この後解説しますのでここではスキップします。
文法知識
リスニングの箇所に記載した通り、それほど重要ではありません。
文法知識があるに越したことはありませんが、中学英語レベル(TOEIC目安300点程度)がわかっていれば何とかなります。
スピーキング力の場合は特にそうで、自分で表現方法を選べるわけですから、できるだけ簡単に表現に言い換えてしまえばいいんです。難しい文法表現などは不要ですし、こまかな文法が間違っていようと、出てくる単語や前後の文脈で意味は通じます。
最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキル-③単語・表現力
さて、やって参りました。単語・表現力。
僕は、この単語・表現力こそが語学学習における最も重要な要素だと思っています。
リスニングとスピーキングのそれぞれの場合に分けて、その重要性を見てみましょう。
リスニングにおける単語・表現力の重要性
単語・表現力の重要性は、特にリスニングで実感します。
経験がある方もいるかもしれませんが、文法理解が完璧でそれまでの相手の発言内容が完璧にわかっていたとしても、わからない単語・表現が出てきたら、急に何を言っているのかわからなくなるんです。
「相手の発言中に1つ、2つわからない単語・表現がある」程度であれば、推測とニュアンスでギリギリ理解できますが、3つ、4つと出てくると、本当にワケがわからなくなります。
例えば、車の話をしているなかで、急に以下の発言が飛び出したとします。
Semiconductor shortages have been aggravated by the pandemic. And this year, the situation wouldn’t change because of the complexities of its production process. Typical lead times can exceed four months, so…
この太字の単語・表現がわからなかったとします。
すると、頭の中はこんな感じに。
パンデミックが何かの不足と関係しているっぽい。Aggravated……。アグレッシブ的なことであればプラスの意味だから、パンデミックのおかげでその不足が解消しているということ……? 今年は状況は変わらないっぽいがその理由はよくわからん……。生産工程に関係するっぽい。何かが4ヵ月を超える……何が……? てか、そもそも、この話、車とどういう関係が……?
パニックですよね。実際はこんな話です。
ここで、もしSemiconductor=半導体と知っていれば、何の話をしているのかはわかりますよね。加えて、車に半導体が使われるという知識があれば、「相手は半導体不足が車の生産に影響を及ぼすという話がしたいのか」というところまで推測できます。
たった一語を知っているか知らないかで、理解にこれほど大きな差が出てしまうのです。
スピーキングにおける単語・表現力の重要性
スピーキングの場合も単語・表現力が重要になってきます。
英語をある程度話せるようになった方なら共感してくれると思いますが、一見英語をペラペラ話しているような人でも、実は「型」を使って話していることがほとんどです。
「型」というのは例えば、以下のようなものです。
言いたいこと | 英語表現 | 例 |
相手に何かをしてほしい | “Could you~” | Could you please send an email? (メールを送ってくれませんか?) |
~したほうがいい | “It would be better if 〜” | It would be better if we reschedule the meeting. (リスケしたほうがいいですね) |
~したことがない | ”I have never~” | Oh, really? I have never heard that. (本当ですか? 聞いたことありませんでした) |
こういった「型」の表現さえ体に染みついていれば、あとは動詞と目的語を変えるだけで様々なことを伝えることができます。
このように、「型」となる表現と、その場その場で変える単語が自分のなかに蓄積されていれば、英語はかなり流暢に話せるようになります。
ですが、もっと言うと、たとえ「型」が不十分でも、単語さえ知っていれば何とかなることが多いです。
半導体の例で考えてみましょう。
例えば相手に「最近、車の生産量が落ちているけどなんで?」と聞かれた際、Semiconductor=半導体という単語さえ知っていれば、「型」がなく、文法や発音が多少違っていようと、こんな風に言えば言いたいことは伝わります。
Semiconductor short. No semiconductor. Not many. So car company can’t make car.
ほとんど単語を並べただけの文章ですが、意味は通じると思います。
ですので、単語と表現(「型」)というものを、是非、集中して勉強してみてください。
ちなみに、スピーキングの場合は、たとえ特定の単語を知らなくても、自分である程度言い換えることができます。文章が長くなってしまうかもしれませんが、時間をかければ自分の言いたいことを相手に伝えることができるのです(もちろん、言い換えられるだけの単語・表現力は必要です)。
特にビジネス英会話の場合、相手の外国人も「海外営業」となることが多いかと思います。そのような人はある程度優秀で、かつ業界知識に精通しているでしょうから、こちらの言いたいことを読み取ってくれます。
例えば、、、
Currently, important parts, aa…, I don’t know the English name. But very important parts of car is not many…, shortage.
Semiconductor?
Maybe yes, it is used for engine, break, navigation system…
Yeah, it is Semiconductor.
てな感じです。
もちろん、このように相手を頼ってしまう状況はベストとは言えないですが、最初のうちはこんなものです。単語・表現力がつくまでは相手のことも適度に頼りつつ、「まあ、何とかわかってくれるだろ!」と楽観的に考えれば、楽しみながら英語が話せると思います。
最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキル-④ビジネス知識
ビジネス英会話を習得するために、自分がやっているビジネスへの理解を深めましょう。
いやいやいや、英語を聞き取れるようになりたいのにビジネス知識? 何言ってるの?
と思う方もいるかもしれません。
そうですね。一見関係ないように思えます。ですが、これが非常に重要なんです。
なぜなら、ビジネス知識があれば、相手の言っていることを確度高く推測できるようになるからです。
ここでも、具体例を挙げてみましょう。
この患者は虚血性心疾患だからPCIを行おう。ガイディングカテーテルを挿入して、冠動脈造影をした後、ガイドワイヤーに沿ってバルーンカテーテルを押し進めて、それで……
これは心臓の病気の治療法のことを言っているのですが、日本語で書かれていても何を言っているのかさっぱりですよね。
もしこれが英語で言われたら、もっとワケがわからないと思います。
ですが、自分が医者で、心臓病治療に関する深い知識を持っていれば、おそらく話にはついていけますよね。
このように、ビジネス知識が十分にあれば、ビジネス英会話というのは推測と背景知識でなんとかなるんです。どんな話題が出てくるかわからない日常会話より遥かに楽です。
もっと単純な例で言うと、相手から急に電話が来た場合であれば、
- 昨日送った新製品の受注連絡の件かな?
- A国向けの販売に関する、来週の電話会議の件かな?
- この前販売した商品Bの件かな? 商品Bはエンジンに不具合が起きやすいからそのことか?
などと、ある程度相手の会話内容を予測し、心の準備を整えることができます。
目的がはっきりした電話や会議であればそれがさらに顕著で、普通、その題目の範疇のことしか話しませんから、使われる単語と背景知識さえあれば、会話には充分についていけます。
ですので、ここで皆さんがすべきことは、
- 自分がやっているビジネスへの理解を深める
- それに関連する専門用語を英語で言えるようになる
この2点につきます。
これさえできていれば、致命的に何もわからない、致命的に何も話せないという状況に陥ることはまずありません。
習得の優先順位
さて、ここまでで、「最速でビジネス英会話を習得するために伸ばすべき4つのスキル」をご紹介させていただきました。改めて、伸ばすべき4つのスキルは以下通りです。
- リスニング力
- スピーキング力
- 単語・表現力
- ビジネス知識
これらのどれも重要ですが、あえて優先順位をつけるとしたらこんな感じです。
③単語・表現力、④ビジネス知識>①リスニング力>②スピーキング力
一番重要なのは、③単語・表現力、④ビジネス知識です。
これさえある程度できていれば、相手の言うことはだいたい理解できますし、単語を並べて返答することもできます。最低限の会話はこなせるということです。
その次に重要なのは①リスニング力、最後に②スピーキング力です。
相手の言っていることが理解できないと的外れな会話になってしまう危険があるので、①リスニング力の方が重要です。他方、②スピーキングは上にも書いた通り、最悪単語を並べれば何とかなるので、優先順位は一番低いです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、ビジネス英会話の習得に必要な4つのスキルを体系化してまとめてみました。
ビジネス英会話が必要だけど、何から始めればいいのかわからないという方は、是非、参考にしてみてください。